9月11日の引き分け試合で阪神のマジックは2。それから3連敗。地元甲子園でマジック対象の広島カープとの23回戦を迎えることとなった。
2003年9月15日 先発オーダー「敬老の日」ということでOB会長である安藤統男氏が始球式。広島・河内投手、阪神・伊良部投手で14時3分、5万3000人の観衆の前で試合は始まった。
3回表、試合が動く。二死からヒットの浅井選手をおいてシーツ選手がセンターへツーランホームランをはなち、広島が2点先制。
連敗していただけに「今日も決まらないのか」とやや不安になる。
先制されたその裏、矢野選手、沖原選手、赤星選手が四球を選び二死満塁。しかし金本選手がセカンドゴロに倒れ最初のチャンスを逃す。
毎回のように走者を出す広島。伊良部投手は粘りのピッチングで追加点を許さず、味方の反撃を待つ。バックもファインプレーで試合を引き締める。
しかし河内投手の前になかなかヒットが出ない。
5回裏、この回先頭の矢野選手がレフト前にヒットをはなつ。なんとこれがチーム初ヒット。藤本選手がライトフライに倒れた後、伊良部投手がきっちり送り二死二塁。
ここでこの日スタメン出場の沖原選手が勝負強いところを見せた。河内投手のスライダーをライト前にタイムリー!矢野が還り待望の1点目が入る。
6回表広島のヒットは7本目。しかし矢野捕手がランナーを刺し、投手を助ける。
6回裏、いい当たりが出るも相手の好守備の前に走者が出ない。
そして7回表ランナーをひとり残し伊良部投手が降板。あとを引き継いだリガン投手が代打陣をしっかり抑える。
広島も代打を出した関係で7回から長谷川投手に交代。しかし阪神打線は沈黙のまま。
8回表、広島が連打で無死一二塁のチャンスをつくる。二死をとった後この日好調の緒方選手に四球を与え満塁の大ピンチ。しかし野村選手を内野フライにおさえピンチを脱する。
試合が動いたのは8回裏だった。
この回先頭の打者は途中出場の片岡選手。片岡選手の打球は黄色く染まった右中間スタンドへ消えた。第11号ホームランは貴重な同点アーチ。
ここに来て試合は振り出しに戻った。
阪神の攻めは止まらない。赤星選手がヒットで出塁すると、リガン投手にかわって代打の神様・八木選手が打席に入り、レフト前ヒット。チャンスを広げる。
この時点でヤクルト-横浜は同点に。この日阪神が勝つとマジック対象チームはヤクルトになる。阪神が勝ち、ヤクルトが負ければ優勝がこの日決まる。
そしてアリアス選手が四球を選び二死満塁、勝ち越しのチャンス!しかし桧山選手の打球はセンターフライ・・・。
9回表かわった安藤投手がこの回先頭の石原選手に死球。勝ち越しのランナーを出す。犠打でセカンドに送られるも、後続を打ち取り追加点を許さない。
この時点で横浜がヤクルトに勝ち越し。
2-2で迎えた9回裏。広島のマウンドは5番手の鶴田投手。一死から、この日守備面で活躍の光った藤本選手がセンター前にヒットをはなちチャンスメイク。そして同点アーチの片岡選手がフルカウントから一二塁間を抜くヒット。一死一三塁とサヨナラのお膳立て。ここで沖原選手を敬遠。広島バッテリーは満塁策を選んだ。
ネクストバッターズサークルで待つ赤星選手。そこにゆっくりとベンチを出て歩み寄る星野監督。赤星の肩を抱き、一言、二言。
9回の裏、一死満塁。
初球、フルスイング。打球はライトの頭を超えた。
歓喜のナインたちをベンチ前で星野監督が笑顔で迎える。闘将は殊勲の赤星選手を抱きしめた。
片岡篤史選手
「今年のね、一年間のいろいろな思いを込めて、この一振りにかけました。」「あとは楽しんで待ってください。」
赤星憲広選手
「こういう日に打ててホント最高です。」「横浜勝つように応援しましょう。」
試合終了から約2時間後の19時33分横浜がヤクルトに勝利、この瞬間、阪神タイガースの優勝が決定。
星野監督の体が7回、宙を舞った。